新型コロナウイルス対策として、広島県が広島市中心部で計画する大規模な無料PCR検査。無症状の人を見つけ感染を抑え込みたい考えだが、対象となる住民はどう受け止めているのか。街で聞いてみた。
「安心したいので受けたい」。日ごろから感染対策に気を使う広島市西区の主婦(67)は、日課だったジム通いを昨年春からやめ、外出はスーパーでの買い物くらいにしている。「無症状でも重症化すると聞く。無料なのはうれしい」
2月中旬から予定される検査は中、南、西、東区の住民と就業者の計約70万人が対象となる。事業費は約10億円。湯崎英彦知事は「どこにいるか分からない無症状の陽性者からの感染を断ち、中長期で感染者を減らせる」と強調する。
東区の高校1年の女子生徒も「無症状のまま他人にうつすかもしれないのが怖い」と検査には前向きだ。一方で「感染者は落ち着いてきた。今することじゃない感じもする」。広島市の直近1週間の人口10万人あたりの感染者数は5日時点で4人。ピークだった昨年12月26日時点の44・2人から大幅に減っている。
無症状で陽性と判明した場合は原則、ホテルで隔離療養となる。これを理由に検査をためらう人は少なくない。
「受けたくないですね。良くないことなんでしょうが……」。
中区の40代の女性会社員は先月、小学5年の長男が一時体調を崩したが、悩んだ末に病院には連れて行かなかったという。「もし検査して陽性だったら仕事に行けなくなる」
中区で食材店を営む店主(52)も「陽性だと店を休まないといけないし、食べ物を扱う店としての信用にも響く。受けない」と言い切る。売り上げは前年の2~3割に落ち込み、休業は死活問題という。「パートさんも家族に迷惑をかけるから受けたくないと言っている」
西区の保育園で働く30代の女性保育士は、職場では常時マスクをつけ、食事も同僚と距離を取って話さずに食べている。「感染の不安はない」としつつ、「陽性だと休園となり、保護者にも迷惑をかける。できれば受けたくない」。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル